パンフレット

ごあいさつ----演奏家----楽曲解説ACT1----楽曲解説ACT2----クレジット

いちばんのさいわい

ごあいさつ

                     


僕は、ピアノがへたくそです。これは事実なのでどうしょうもありません。でも、僕はピアノが大好きです。今から20年以上前、ピアノがうちにやって来て以来、ピアノはずっと僕のそばにあります。一度、地震で倒れて、僕を押しつぶしそうになりましたが、それ以外は、お気に入りの玩具であり、最良の友人であり、演劇も含む僕の創作活動の源泉です。これは、幸いな事。

僕は、作曲や編曲に関しては、せいぜい五線譜がちょっと書けると言うレベルです。字が書けても詩人ではないというなら、僕は作曲家でもアレンジャーでもないのです。ただ、音楽は、ずっと側にありました。確か、3才か4才の頃、針を落としたグレン・ミラーのレコード以来、音楽は、お気に入りの玩具であり・・・。これもまた、幸いな事。

で、そんな僕らなのですが、強引に、そう、なんとかねじ伏せて、自分を音楽家だ!と思い込もうとしてみます。そうすると、音楽をやっている友人が大切に思えて来ます。なぜなら、僕を、同じく音楽家であるように錯覚させてくれるから(笑)。そして、そういった友人たちとコンサートを開く事は長年の夢でした。
 今回、ようやく、企画にをたてる事ができ、ここにみなさんを迎える事が出来ました。これは、<いちばんのさいわい>です。どうぞ、気楽に、居心地よく聴いていただければ、幸いですし、もちろん、子守唄がわりに聴いていただいても構いません。本当は、美味しい食事でも召し上がっていただきながら、と思ったのですが、至りませんでした・・・。
 ご協力をいただいた多くの方と、ここにお集り頂きました皆様に、心から感謝を申し上げます。
--profils--
遠藤良太(構成演出・スクリプト):アーティストキャッシュ"CooL/lab"のメンバー。主に舞台の脚本や演出をしている。音楽関係では、Doktor GriPHinのパフォーマンス作品で構成演出、指揮等を担当。1996年からSPEAKER370に所属し、これまでに7本の作品を書いている。
尚真信帆(作編曲・音楽監督):アーティストキャッシュ"CooL/lab"のメンバー。クラシック音楽を中心にノンジャンルの作曲活動を行っている。舞台音楽などもてがけ、武田英志とのサウンド・インスタレーション作品等もある。


ミュージシャン

演奏家紹介

           


●Eishi Takeda san-xian●Naoko Kobayashi horn●Yoshio Takahata oboe,corno inglese●Jun Kawasaki contrabass●Naoki Sakakibara drums●Shigehiro Hosoi marimba,vibraphone,percussions●Kyoko Abe vocal●Lyouta Endo piano,vibraphone,glockenspiel●Ayako Ijuin piano

プログラム

楽曲解説

           


ACT 1

《ピアノ協奏曲第2番》より第1楽章
作曲:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
"Concerto for piano and orchestra No.2" -1st.Mov.
Dimitry Shostakovich

<ピアノ連弾、オーボエ、ホルン、マリンバ、ヴィブラフォン、小太鼓>
●20世紀を代表する大作曲家ショスタコーヴィチ(1906-75)が、実は、ケージやメシアンとほとんど同世代の作曲家であるという事は以外と忘れやすい。この曲は、1957年に当時モスクワ音楽院にいた息子マキシムのために書かれた曲。ショスタコーヴィチ特有の悲劇性は抑えられ、ユーモアで軽やかでスリリングな音楽が聴き手を魅了する。その愛らしさから、ディズニー映画『ファンタジア/2000』に取り上げられた。
●今回は、ピアノの連弾と鍵盤打楽器を用い小編成のアンサンブルでアレンジをしてみました。


キャットフード・オン・サンデー
作詞:遠藤良太/作曲:尚真信帆
Catfood on sunday
Lyouta Endo/Sympho Takama

<ボーカル、ホルン、ピアノ、コントラバス、パーカッション、ドラム>
●尚真信帆の1993年の作品。キャットフードを買いに行く女性を描いた、けだるく、厭世的で、でも居心地の良い歌。ボサノバ・テイストの楽曲。
●今回、編成にホルンを取り入れてみましたが、けだるい感じが良く出ました。

Catfood on Sunday

日曜は好きじゃない まわりのうきうき見てるだけ
図書館も休みだし
交差点わたる時 誰かのカバンにぶつかって
よろめくの慣れたふりをして先を急ぐ人たち
私はひとり家にいたかったのに
うるさいのよベランダで知らない猫がないているの
うずくまり ひとりきり 見ているの
日曜に・・・

日曜は好きじゃない いろんな事ができなくて
時間だけ意味もなく過ぎて だけど探しているの
信号無視なんてできなかったのに
急いでるの走ってるの どこにあるか知らないのに
欲しいもの見失う日曜は

日曜は好きじゃない ベランダ開けて待ってても
もういないの どうするの?このキャットフード

《マ・メール・ロワ》より〈美女と野獣の対話〉
作曲:モーリス・ラヴェル
Les entretiens de la Belle et de la Bete
Maurice Ravel

<オーボエ、ホルン、ヴィブラフォン、グロッケンシュピール、コントラバス>
●ラヴェル(1875-1937)は、ドビュッシーと共に印象派音楽を大成した作曲家。ドビュッシーに比べ、理知的で古典的な音楽を書き、後代の重要な作曲家たちも彼の音楽を敬愛している。この〈美女と野獣の対話〉を含む組曲『マ・メール・ロワ』(英語では「マザー・グース」)は、友人の子供たちのために書かれたおとぎ話を主題としたピアノ連弾用の組曲である。なお、冒頭にピアノ連弾をした曲〈眠りの森の美女のパヴァーヌ〉もこの組曲から。
●今回は、この魔術師であり細工師であるラヴェルのナイーブな音楽を、ピアノを使わずに、演奏してみたいと思います。


雨の日と月曜日は
作詞:ポール・ウィリアムズ/作曲:ロジャー・ニコルズ
Rainydays and Mondays
Paul Williams/Roger Nichols

<ボーカル、ピアノ>
●初期A&Mレコードが打ち出したイージー・リスニング(今日のアダルト・コンテンポラリーにあたる?)やAOR系のポップ・アーティストの中で、現在でも根強い人気を誇っている(再評価されている)のが、バート・バカラックやロジャー・ニコルズだろう。カーペンターズについては、いまさら説明を要さないと思うが、彼らは自作曲以外にバカラックやロジャー・ニコルズ(ロジャニコと呼ぶのはどうかと・・・)の曲を録音しており、この有名な曲もその一つ。
●カーペンターズのスタイルを踏襲して、ピアノと歌でお送りします。ただし、ちょっとブロークンで。


無能の人
作曲:チチ松村(ゴンチチ)
Muno no Hito
Titi Matsumura(GONTITI)

<三線、マリンバ、ヴィブラフォン、ピアノ>
●1991年の竹中直人監督・主演の映画『無能の人』(原作:つげ義春)のサウンドトラック。この温かいブラックユーモアに満ちた作品は、ベネチア映画祭国際批評家連盟賞を受賞しているが、ゴンチチのノスタルジックでどこかレトロなサウンドも高い評価を得た。
●今回は原曲の印象を大きく変え、無国籍的な音楽にしてみました。主役を三線におき、ピアノ、マリンバ、ヴィブラフォンの3種類の鍵盤打楽器が波のような細かいテクスチュアで背景を埋めていきます。


セブン・ステップス・トゥ・ヘブン
作曲:マイルス・デイビス
Seven Steps To Heaven
Miles Davis

<コーラングレ、ホルン、ピアノ、コントラバス、ドラム>
●マイルス・デイビス(1926-1991)が1963年に発表したアルバム「Seven Steps To Heaven/Miles Davis」のタイトル曲として有名な楽曲。ピアノのハービー・ハンコックと、ドラムのトニー・ウィリアムスが初参加と言う事で、記念碑的な一曲(アルバム)となっている。
●今回は、純粋にジャズをやるのは、あまりにも困難と判断し、クラシック・ジャズのような雰囲気でアレンジをしてみました。本来は、トランペットとテナー・サックスで演奏する所を、ホルンとコーラングレという編成でお届けしたいと思います。


ACT 2

私のお気に入り
作詞:オスカー・ハマースタイン2世/作曲:リチャード・ロジャース
My Favourite Things
Oscar Hammerstein 2nd/Richard Rodgers

●いわゆるロジャース&ハマースタイン・ミュージカルの最後にして最高の作品『サウンド・オブ・ミュージック』は、1959年からブロードウェイで1443回のロング・ランを記録したプロダクション(メリー・マーティン主演)だが、特に1965年のロバート・ワイズ監督による映画版(ジュリー・アンドリュース主演)で知られている。どの楽曲も素晴らしいのだが、特にこの《私のお気に入り》は、クラシックやジャズなどに編曲されている名曲中の名曲だ。
●今回は、1995年頃録音したアレンジに映像をつけてもらう事になりました。むしろ映像を楽しんでください。


炎のたからもの
作詞:橋本淳/作曲:大野雄二
Fire Treasure
Jun Hashimoto/Yuji Oono

<ボーカル、ピアノ、ヴィブラフォン、ベース、ドラム>
●作曲家、大野雄二の音楽には多くのファンがいると思うが、ほとんどの人が彼の作品の中で「ルパン3世」シリーズのリスキーで洗練された音楽を一番にあげるのではないだろうか。この《炎のたからもの》は、1979年の映画シリーズ第2作目『カリオストロの城』(宮崎駿監督)の挿入歌。
●作曲者自身が、ジャズ・アレンジした演奏を参考にエンディング等を補足し編曲しました。


サニー
作詞作曲:ボビー・ヘブ
Sunny
Bobby Hebb

<ボーカル、ベース、ドラム>
●ボビー・ヘブはアメリカの黒人R&Bシンガー、作曲家。1966年ヒットチャートの上位入りしたこの曲で(のみ?)知られている。ただ、この《サニー》はスタンダードナンバーで、ボニーM、シェール、ジョージィ・フェイム、綾戸智恵、奥田民生などのカバーで知られいる。
●楽譜を採っただけで、特にアレンジめいた事はしていません。セッション形式でお聴き下さい。


《プレイアデス舞曲集 II 》より〈消極的な前奏曲〉
作曲:吉松隆
Negative Prelude
Takashi Yoshimatsu

<ピアノ、ヴィブラフォン>
●吉松隆(1953-)は、現代日本クラシック界を代表する作曲家として内外に広く知られているが、慶應大学工学部を中退し、ロックやジャズをやりながら独学で作曲を学んだ非正当派だ。「プレイアデス舞曲集」は、ピアノソロ曲だが、今回は、作曲者自身によりオブリガードをつけられた楽譜を使い、ピアノとヴィブラフォンで演奏される。


《銀河鉄道の夜》より
作曲:細野晴臣
"Nokto de la Galaksia Fervojo"
Haruomi Hosono

<オーボエ、ホルン、三線、ピアノ連弾、コントラバス、パーカッション、ドラムなど>
●宮沢賢治の原作を、ますむらひろしがマンガ化し、別役実の脚本で、杉井ギサブローが監督した1985年の日本アニメの傑作。主役のカンパネルラやジョバンニがネコになっている映画と言えば、お分かりかもしれない。そのサウンドトラックを、日本音楽の先導者、細野晴臣が担当している。
●このサウンドトラックはまさに名曲揃いで、いろいろ迷ったのですが、〈ケンタウルスの星祭り〉〈一番のさいわい〉〈エンド・テーマ:銀河鉄道の夜〉などから主題を取り、再構成してみました。ボーカルを除く、全楽器で演奏します。


G.。
作詞:遠藤良太/作曲:尚真信帆
G.III
Lyouta Endo/Sympho Takama

<ボーカル、コーラングレ、ホルン、三線、マリンバ、ヴィブラフォン、ピアノ、コントラバス、ドラムなど>
●尚真信帆の1997年の作品。創世記(GENESIS)の3章に出て来る楽園喪失をテーマにした歌。時が止まったような静かな楽曲。
●テーマは、歌詞にもあるように、居心地の良い楽園、まどろみ、永遠に固定された幻想の中の楽園。僕の場合、行きたくても行けないハワイ?

G.III

暖かいこの場所に
生まれ落ちて君を求めた
世界に護られて
二人だけの長い微睡みよ

風もなく波もなく
ただ永遠に動かぬ楽園

望んでも叶わない
僕の諦めに君は迷う

手を伸ばし分けあった
甘い禁断は還らぬ楽園

舞い上がり落ちていく
静寂の花に埋もれる楽園
二人から生まれる楽園
どこかに・・・

all songs arranged by SYMPHO TAKAMA
except for "Sunny","Negative Prelude"


エンド・ロール

クレジット

           


CooL/Lab#musiC/triaL
broken consort
musicians
ボーカル:阿部恭子
ピアノ:伊集院文子
ピアノ、ヴィブラフォン、グロッケンシュピール:遠藤良太
コントラバス:河崎純
ホルン:小林尚子
ドラム:榊原尚樹
オーボエ、コーラングレ:高畑義夫
三線、コーラス:武田英志
マリンバ、ヴィブラフォン、打楽器:細井重浩
staffs
衣装、ステージマネージャー:阿部恭子
映像、音響、AVオペレーション: 井上喜弘(偽マッチョ)
音響制作、ライブラリアン: 伊集院文子(SPEAKER370)
ステージデザイン :いまいみつき("CooL/lab")
照明 :梅本コウジ(SPEAKER370)
構成演出、スクリプト:遠藤良太
音楽監督、作編曲:尚真信帆("CooL/lab")
宣伝美術、グラフィックデザイン:武田英志
楽器:細井重浩
企画・製作: "CooL/lab"
support
クレッシェンド・スタジオ
http://www7.plala.or.jp/crescendo-studio/
渡辺洋
special thanks to
コマキ楽器
栗原春子
manabeck
SPEAKER370